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神奈川大学 建築学部

建築の視点から横浜を再発見 Discover YOKOHAMA

まちを歩くだけで、歴史的建造物と現代建築物を同時に体験できる。それが横浜。建築の教材の宝庫です。そこで、建築学部の先生たちにオススメの空間、見るべきポイントを聞いてみました。もしあなたが建築学部に入学したら、こんな視点で横浜を見ることになるかも?

日本初の業務用エレベーター、
実はここにあります

横浜赤レンガ倉庫
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文化・商業施設へと生まれ変わった元保税倉庫(輸入した荷物を一時的に保存する倉庫)

1911年 2号館 竣工

1913年 1号館 竣工

2002年 文化・商業施設としてリニューアルオープン

  • デザインの視点

    内田青蔵先生

    日本初の業務用エレベーターをはじめ、避雷針や、消火栓など、建築当時の組積造(石・煉瓦・コンクリートブロックなどで作る建築物)の最高技術がつまった建築物です。横浜港から全国へ荷物を運んだ鉄道レールも残されています。ぜひ一度、横浜港からレールに沿って赤レンガ倉庫まで歩いてみてください。

  • 環境の視点

    岩本靜男先生

    建築当時の最新設備を備えているだけでなく、それらの設備を「魅せる」のか「隠す」のかをよく考えてある建築物です。たとえば、赤レンガ倉庫の避雷針は、現在の一般的な一本の針のような形状と違い、美しい装飾が施されています。一方で、屋根に降った雨を地面に導く「雨水管」は目立たないつくりに。今の建築物にも通じる考え方です。

  • まち再生の視点

    上野正也先生

    周辺の様々なスポットから赤レンガ倉庫が見えるように見通しが確保されており、訪れる人たちに横浜のシンボル、赤レンガ倉庫を印象付けることに一役買っています。また、赤レンガ倉庫から、ビュースポット「みなとの見える丘公園」まで、信号を渡らずにすむように歩行空間がデザインされていることも注目してほしいポイントです。

  • 住生活創造の視点

    須崎文代先生

    赤レンガ倉庫2号館の2、3階には、眺望が楽しめる屋根付きの広々としたバルコニーがあります。レストランなどに活用されているこの場所は、倉庫だった当時は、荷さばきのためのスペースだったのでしょう。既存のイメージに囚われず場所の新しい使い方を提案していくのも、私たち建築のプロの仕事です。

関東大震災のガレキの上にできた
横浜復活のシンボル

ホテルニューグランド
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現存する横浜最古のホテル

1927年 開業

本館 地上5階 鉄骨鉄筋コンクリート造

  • デザインの視点

    内田青蔵先生

    1923年に通りの風景を一変させた関東大震災。日本最大の外国人専用ホテルだったグランドホテルをはじめ、立ち並ぶホテルや、外国商館で華やかだった街並みは、がれきと化しました。震災前のにぎわいを取り戻すべく、横浜の新たなシンボルとして震災から4年後の1927年にホテルニューグランドは開業しました。戦後、マッカーサーをはじめ、多くの著名人が泊まったことでも知られています。

  • 住生活創造の視点

    須崎文代先生

    山下公園に面して建つホテルニューグランド。もし訪れる機会があれば、ぜひ、本館のラウンジで、ソファや応接セットに座って過ごしてみてください。天井の高さと高窓から見る港の風景が、優雅な気持ちにしてくれます。柱の装飾などは、決して豪華ではなく質素ですが、雰囲気がとても良い場所です。その感覚を体験して、なぜなのか考えてみましょう。

全長400メートルの木のくじら

横浜大さん橋国際客船ターミナル
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国内最大級の大型客船ターミナルとイベント用ホールを備える、横浜を代表するふ頭

2002年 竣工

地下1階 地上2階 鉄骨造

建物の長さ 約430m

最高高さ 約15m

幅 約70m

  • デザインの視点

    曽我部昌史先生

    遠くから見ると、水面に浮かぶくじらのような姿。屋上のフリースペースには「くじらのせなか」という愛称が付いています。隆起する大地のようにうねる壁と床は、木と鉄骨でできているとは思えないほど有機的。日本はもちろん、世界中の観光客をひきつけている場所です。横浜に来る目的はここ、という建築設計者もいるほどです。

  • 構造の視点

    島﨑和司先生

    大さん橋は「ピア」と呼ばれる橋脚のような柱で支えられて、海の上に建っています。いわば、全長約400mある大きな橋のような構造なのです。また、大きな空間をおおう薄い鉄板を折り紙のように曲げた「折板構造」の屋根も見て欲しいポイント。構造設計の面でもさまざまなチャレンジが見られる建築物です。

  • 住生活創造の視点

    須崎文代先生

    1階、2階とフロアが区切られておらず、建物の中が連続してつながっているため、標識や、手すり、照明などについても、今までの建築のセオリーが通用しません。新しいものを考えるとき、今までの常識が通用しないとき、どんなアイデアを出せるかをこの建築物は教えてくれます。

音も姿も美しい、
戦後モダニズム建築の代表作

神奈川県立音楽堂
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公立施設として日本初の本格的なコンサートホール

1954年 開館

地下1階 地上4階 鉄筋コンクリート造

残響時間 1.4秒(空席時)

延床面積 3700.53㎡

  • デザインの視点

    中井邦夫先生

    コルビュジエの3人の日本人の弟子のひとり、建築家前川國男の初期代表作であり、戦後モダニズム建築の代表作のひとつ。開放的なつくりや、深い軒、構造のかたちがあらわれるロビーなど、典型的な近代建築の特徴を持つ建築物であり、しかも美しい。最近、原型を保ったまま、補修工事も行われました。

  • 環境の視点

    安田洋介先生

    伝統的なシューボックス型を基本とした平面を持つこのホールは、ロンドンのロイヤルフェスティバルホールを参考に設計されました。「東洋一の音響」と評されたこともあるようです。この規模のホールとしては残響時間が短く(空席時で1.4秒)、明瞭かつ親密感のある音の響きは、今も多くのファンをひきつけています。

  • 構造の視点

    島﨑和司先生

    アプローチから見る外観の正面プロポーションの美しさは必見です。それはラーメン構造のフレームの縦横比がもたらしているのだと思います。また、内部の音楽ホールは壁だけでなく骨組みまで木製です。「音が柔らかく響く」と、演奏家のファンが多いホールです。

異国情緒あふれる洋館は、
かつての震災復興住宅

山手234番館
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外国人居留地である山手町に、関東大震災の復興事業として建てられた外国人向けアパートメントハウス

1927年頃 竣工

地上2階 木造

横浜市認定歴史的建造物

  • デザインの視点

    内田青蔵先生

    1923年の関東大震災では、横浜も大きな被害を受けました。数多くの人が家や財産を失いました。山手町の外国人居留地にいた外国人も例外ではありません。横浜市では、震災で家を失った外国人を対象に、外国人専用の市営住宅や集合住宅を積極的に建設しました。横浜ならではの住宅と言えるでしょう。

  • 住生活創造の視点

    須崎文代先生

    民間の手でつくられた外国人用の集合住宅です。設計者は、朝香吉蔵。隣接する「えの木てい」のほか、震災復興にあたり、多くの山手の住宅を手がけたと言われています。当時の日本人向けの洋館では、トイレと浴室は別々なのが一般的でしたが、ここでは一緒になっています。この点からも、彼が外国人の生活スタイルを熟知した建築家であったことが分かります。

業界初。
コンセプトも設計者も異なる駅

みなとみらい線各駅
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横浜高速鉄道が運営する、横浜駅から元町・中華街駅を結ぶ鉄道駅

2004年 開業

路線距離 4.1km

駅数 6駅

  • デザインの視点

    石田敏明先生

    みなとみらい線の開通にあわせて、すべての駅を別々の設計者が、異なるコンセプトで設計しました。駅名表示のフォントもすべて違っています。特に、みなとみらい駅は早川邦彦、馬車道駅は内藤廣、元町・中華街駅は伊東豊雄と、今では著名となった建築家が若手時代に担当したものです。

  • 環境の視点

    安田洋介先生

    駅ではアナウンスが明瞭に聞こえることが重要です。みなとみらい線の各駅では、残響過多やエコー障害を引き起こし音が聞こえづらくなる形状の天井(ドーム天井、ヴォールト天井等)を採用していますが、音を吸収して反射をやわらげる仕上げや構造を採用することで、デザイン面の美しさと音の聞こえやすさの両立を図っています。

  • まち再生の視点

    上野正也先生

    横浜の魅力あふれるスポットを通っているみなとみらい線。一駅ごとに、さまざまな横浜の一面を楽しむことができます。地上に広がるまちと駅構内に一体感が生まれるようになっているのは、みなとみらい線ならではの特色です。まちの様子や歴史文化が、駅に降りた瞬間に想起されるデザインとなっています。

  • 住生活創造の視点

    須崎文代先生

    各駅のデザインコンセプトが異なるみなとみらい線。例えば「元町・中華街駅」。幾重にも連なるエスカレーターの壁面には、元町の歴史風景・人物がプリントされていて、地上に行くほど、現代に近づいていきます。エスカレーターで過ごす時間や地上に上っていく感覚と、歴史をたどっていく感覚とをリンクさせたおもしろい内装です。

日本一ではないけど、東日本一です

横浜ランドマークタワー
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横浜の都市デザインの集大成ともいえるウォーターフロント「みなとみらい地区」にそびえる超高層ビルディング

高さ 296m (20世紀には日本一の高さを誇った)

延床面積 392,885㎡

  • 構造の視点

    藤田正則先生

    日本屈指の高さを誇る「横浜ランドマークタワー」。この高さになると、地震の揺れだけでなく、台風などの強風にも対応する必要があります。そのため、横浜ランドマークタワーの頂部には、風揺れを低減するための振り子式の制振ダンパーが設置されています。

  • まち再生の視点

    山家京子先生

    横浜ランドマークタワーがある「みなとみらい」は、横浜の都市デザインの集大成です。地区内外を結ぶ「3つの軸からなる歩行者ネットワーク」をはじめとした「骨格として整備された都市空間」と、建築物の色彩や高さ、夜間照明などを細やかに定めた「都市景観形成ガイドライン」の2本立てでトータルな都市デザインがなされています。

  • デザインの視点

    石田敏明先生

    「みなとみらい」エリアに来たら、一度、空を見上げてみましょう。気づいてほしいのは、海から内陸に向かいビルの高さが高くなっていくこと。空に一直線を描く計画的なスカイラインを実現させたのは、日本ではみなとみらいが初めてです。計画的な都市デザインをぜひ一緒に体感しましょう。

戦後の風情ある建築物を
リノベーションで活かす

防火帯建築群
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戦後、都市の防火を目的に全国で建設された耐火建築物群のひとつ

横浜で建設された防火帯建築 約440棟

うち現存するもの 約230棟

  • デザインの視点

    中井邦夫先生

    1950年代に全国で建設された防火帯建築。中でも、横浜のものは街区型(ロの字型)の面的なまちづくりを実現しようとした、知られざる壮大な都市デザインプロジェクト。風情のある建物が多いのですが、老朽化が進み、解体撤去が進んでいます。一方で、アーティストやクリエイターのために改変する活動も。デザインコースの学生が実際に設計に関わったものもあります。

  • まち再生の視点

    山家京子先生

    1952年に施行された「耐火建築促進法」。これは、街路に沿って鉄筋コンクリート造などの燃えにくい3、4階建ての建築物を建設することで、火災を遮断し、戦後すぐの木造市街地を火災に強い不燃都市に改造することを目指したものでした。この法律に基づき、全国92箇所で、防火帯建築が建設されました。

海から真っ先に見える、
横浜港の目印

横浜三塔(神奈川県庁本庁舎、横浜税関、横浜市開港記念会館)
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横浜市民に長年親しまれている、横浜港のシンボルたち

■神奈川県庁本庁舎(キングの塔)
1928年 竣工
国際貿易港横浜の象徴
国指定重要文化財

■横浜税関(クイーンの塔)
1934年 竣工
イスラム寺院風のドームが特徴
横浜市認定歴史的建造物

■横浜市開港記念会館(ジャックの塔)
1917年 竣工
横浜の開港50周年を記念して建立
国の重要文化財

  • デザインの視点

    内田青蔵先生

    昭和初期、外国船員がトランプのカードになぞらえて、キング・クイーン・ジャックと呼んだことが横浜三塔の愛称の由来と言われています。神奈川県庁本庁舎(キングの塔)は、日本に来る外国人が最初に目にする建物であることを意識してデザインされました。日本という東洋一の国に来たことを強烈に印象づけるために、東洋的デザインが用いられています。

  • 住生活創造の視点

    須崎文代先生

    横浜市開港記念会館(ジャックの塔)は、現在も研修・セミナーなどで市民が安価に借りることができ、民間の地域活動の拠点としても愛されています。愛される建築は、メンテナンスされ、長く存続していきます。なぜ愛されるのか。お金をかけたから?豪華な装飾だから?多分、それ以外に理由があるのでしょう。その理由を考えることも見学の楽しみです。

  • 構造の視点

    趙衍剛先生

    横浜が国際貿易港であることを象徴する建物、横浜税関(クイーンの塔)。完成当時は、横浜でもっとも高い建築物でした。保存改修工事が2003年に終了し、棟と反対側の1面に鉄骨造7階建ての新館が増設され、残りの3面には耐震補強が行われました。今後も横浜の税関として活躍し続けることでしょう。

商店街を復活させた
「ドッキリヤミ市場」

六角橋商店街
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戦後の闇市から続く、昭和の面影を残すレトロな商店街

横浜市神奈川区六角橋1丁目区域(神奈川大学横浜キャンパスのすぐ近く)

約170店舗で構成

  • まち再生の視点

    山家京子先生

    1997年から続く「ドッキリヤミ市場」は、シャッターの閉まる空き店舗が多かった商店街を復活させた名物イベント。このイベントの開催を神大フェスタ実行委員会がサポートしています。横浜市内にはほかにも、元気で個性的な商店街があります。それぞれの商店街が地元の大学などと連携しながら、賑わいのあるまちづくりを行っているのです。

  • デザインの視点

    曽我部昌史先生

    2本の通りからなる六角橋商店街。特に、ふれあい通りは、木造アーケードと2階が住居だった名残や趣きのある看板など、昭和レトロな雰囲気を味わえる場所です。神奈川大学との関係は古く、神奈川大学の学生がアーチや街灯をデザインしていたり、都市計画研究室がまちづくりに関わったりしています。